月経不順・月経困難症

月経不順

月経不順とは

過多月経・月経困難症

正常な月経周期は25~38日くらいと言われています。周期につきましては一定の方もいれば、多少ずれているという方もいますが、先に述べた範囲内に収まっていれば、問題はありません。なお、周期が24日以下であったり、39日以上だったとしても、きちんと排卵がある場合は「その周期がその女性特有の周期」ということになり、こちらも心配の必要はありません。月経不順は、ストレスを受けて自律神経が乱れ、ホルモン分泌に影響が出る場合や卵巣のタイプにより排卵しにくいために起こります。

月経不順でよくみられる症状

月経不順では、以下のようなタイプがあります。

稀発月経

40~50日ごとに月経が来ることを「稀発月経」(月経がたまにしか来ない)と言います。このような状態の多くは月経が始まった日から排卵するまでに長い日数(例えば30日間)を要し、その14日後に次回の月経が来るタイプ(遅延排卵)がよく見られます。つまり排卵はあるものの、スムーズに排卵が起こらないことが多いのです。あるいは月経と思っていた出血が、実は排卵が無い出血(無排卵周期)ということもよくあります。

頻発月経

月経あるいは月経様の出血が頻繁にあるような場合も、実は排卵が起こっていないための無排卵性出血のことが少なくありません。出血(生理様出血)と出血の間が2週間くらいしか無く、かつ出血期間が10日とか2週間と長く続く場合は、きちんと排卵が起こっていないと考えられます。

過長月経と過多月経 

月経期間が8日以上続く状態を「過長月経」と言います。原因としては、排卵障害や子宮の病気が考えられます。女性ホルモンの分泌に関係する器官(視床下部、脳下垂体、卵巣など)に何らかのトラブルがあって無排卵周期になっていたり、または黄体ホルモンの分泌が不十分なために黄体機能不全になっていたりする可能性があります。
また、出血量が増える、経血にレバー状のかたまりが混じる、月経痛が酷いなどの症状が見られる「過多月経」の場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症などが原因になっていることもあります。

過少月経と過短月経

経血量の極端に少ない状態を「過少月経」、月経が2日以内で終わってしまうような場合を「過短月経」と言います。女性ホルモンの分泌量が少ないため子宮内膜が厚くならない、あるいは子宮の発育不全などのほか、甲状腺機能の異常が原因のこともあります。月経は来ても排卵の無い無排卵月経になっているケースも少なくないので、ホルモン剤などによる治療が必要な場合もあります。

規則正しい生活を心がける

月経不順になったら、まず自身の生活をきちんと見つめ直すことが大切です。1日3回栄養バランスのとれた食事を摂って、十分な睡眠をとり、適度な運動も心掛けてください。また、月経不順の大きな要因とされるストレスと上手につき合うことも大切です。月経不順が続くようなら、当院をご受診ください。

月経困難症

月経困難症とは

月経困難症は、生理痛が強く、日常生活に支障を来たす場合を言います。症状としては、腹痛、腰痛、吐き気や嘔吐、ふらつき、頭痛、頭重、食欲不振などがみられます。
なお、生理痛については主に2つに分類されます。ひとつは、子宮や卵巣などに何の異常もみられない、いわゆる病気ではなく誰にでも起こり得る「機能性月経困難症」です。こちらの場合は、子宮内膜が剥がれる際につくられるプロスタグランジンというホルモンが原因と言われ、これは子宮の収縮をうながす作用があり、腹痛や腰痛、嘔吐などを起こしたりします。
もうひとつの月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因の器質性月経困難症です。なかでも子宮内膜症を発症している場合は、子宮内腔以外の箇所にも内膜の組織ができるので、月経時に出血することで腹痛などの症状が起こります。

治療について

治療方法には薬物療法と手術療法があります。治療は、病気の症状や進行具合だけでなく、年齢や妊娠希望の有無など、その後の人生設計も考えて選択します。
薬物療法には、『対症療法』(鎮痛薬や漢方薬)と『ホルモン療法』(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤や黄体ホルモン剤など)があります。
手術療法には腹腔鏡下手術と開腹手術があります。手術療法をご希望の方は対応可能な病院へ紹介状をお書きします。
月経困難症にがまんは禁物です。積極的に病気と向き合い、痛みをうまくコントロールして充実した日常生活を送りましょう。